江戸町奉行所の定町廻同心の身なり(着物黒巻羽織)、十手(じって)をイラストで解説
南町、北町奉行所各々に与力二十五騎、そしてその配下として同心百二十人(後に二十人増員)が配属され、必殺仕事人でお馴染みの中村主水、渡辺小五郎ら定町廻同心の定員は六名だけでした。年数を勤めた定町廻が六名、臨時廻同心としてそれに加えられており、その人数で江戸の町を巡回し治安維持の任についていました。月番には昼五ツ(午前八時)〜七ツ(午後四時)まで百坪ほどの敷地を与えられていた八丁堀の組屋敷から奉行所に出勤しておりました。同心の棒禄(給与)は三十俵二人扶持とされていたが、町奉行所同心には付届(御用頼)が多く、なかなか裕福であったと言われています。
定町廻同心の服装、身なりはイラストのように黒の紋付羽織の裾を帯の中に内に巻き上げて挟んだ巻羽織に縞か格子の着流しに雪駄、そして刀はカンヌキ差しと呼ばれる水平に帯に差しておりました。
江戸の町の治安を守る者としての表徴であり、犯罪者を生け捕りにするための補具「十手」です。材質は鉄、真鍮が多く、与力は捕縛に直接関わることはなかったこともあり、装飾された十手が多く、定町廻同心の十手は実戦向きな鉄製で、凡そ一尺五寸の長さで、緋色もしくは紺色の房を付けておりました。